FC GRASION東葛
GM 二瓶 颯太 様 インタビュー
2025.10.24

FC GRASION東葛
千葉県社会人サッカー1部リーグ 所属

Jリーグ入りを目指すクラブとして、2021年11月に千葉県の東葛地区をホームタウンに創設。チームスローガンは「東葛からW杯へ」。
2024年度に千葉県2部リーグ優勝、2025年度に千葉県1部リーグ優勝を果たし関東リーグ参入を決める関東社会人サッカー大会に進出するなど、近年急速に力をつけ注目を集めている。
※インタビューは同大会前に実施

HP:https://fcgrasion.com/

リーグ優勝というひとつの目標は達成できた

― まずはチームの状況と目標を教えてください。
チームの状況で言うと、まず昨シーズンは千葉県2部リーグを優勝して今シーズン1部リーグに上がってきた、関東リーグ昇格に向けてチャレンジが必要ななかで、今シーズンは関東昇格戦(関東社会人サッカー大会)への千葉県の枠が2枠から1枠に減ったため優勝が必須という状況でした。
難しいレギュレーションの中で優勝することができ、ひとつの通過点、目標はクリアできました。

ひとつ安心できた部分はありつつ、優勝が決まったあとの3節は新しいことに取り組みました。
せっかくの公式戦の中で自分たちがこの機会をどのようにトライしていくか、うまくいかなかったところもありますがそれはそれで学びだったり、自分たちが今だからこそ話し合える、という機会が持てたと思います。いろいろとまた見直す機会が持てたのは、時期としてもよかったと思います。
リーグ戦1位で終わることができましたが、やっぱり負けられない戦いが続く中だったので結果を出し続けるのは難しい。結果蓋を開けてみたら勝てたというように捉えられてもよくないですが、1試合1試合の本当に積み重ねで、最終的に結果が残ったという部分については選手やスタッフも感じていると思います。
この間にチームとして向かっていく先というのが共有できたというところはあるんじゃないかと思っています。


ー 次は関東昇格戦ですね

はい、トーナメントで言ったら4試合。言い方正しくないかもしれませんがこれを負けてしまうと意味がない。
自分たちのギアを一段上げて戦いにいけたらと思います。

やることを明確化し、なるべくシンプルに選手に伝える

― 現在のチームの課題を教えてください。
対戦相手のチームは、本当にいろんなタイプのサッカーをしてくるなと感じました。
シンプルに裏に放ってくるチームもあれば、下から結構繋いでくるのが特徴的なチームだったり、流動的にポジションチェンジをしてくるチームもある。
本当にいろんなタイプのサッカーをしてくる相手に対して、どんなタイプがきたとしても自分たちがそこに対して柔軟に対応していく能力をもっと高める必要があると感じました。
あとはどんな相手がきても、自分たちはシンプルにやることを明確化して、相手がどうであれ自分たちがこれを徹底的にやればどんなやり方をされても大丈夫という状態に持っていけたらよいと思っています。

「なんで悪かったのか?」を感覚で済ませない

― そんななか、StatsReviewはどのように活用されていますか?
分かりやすいところで言うと、思った以上にボール持ってたけどシュート本数少なかったよねとか、前後半の比較とか、感覚と実績をちゃんと突き合わせるというところに役立っていると思います。
感覚で良かった、悪かったなで済ませない。感覚的になんか悪かったけど勝ったからいいか、みたいなので済ませず明確にできるというのが非常によいなと思います。
やっぱりデータなので、データで突き出されたらそれは嘘とは言えない。
そのデータがあったうえで自分たちのサッカーとしてどういう風にやっていくとよいか、データをよくするというより結果をよくするにはどうしたらよいか、そういう議論の方向に繋がっていくと思います。
試合に出たプレイヤーも含めて、客観的に試合を振り返りできるというところが1番いいところかなと思います。


ー 選手にもStatsReviewのレポートは共有していますか?


もちろん展開しています。
試合分析、AIレポート、前節とか過去の試合を踏まえた比較などは、全員スッと入ってくるというか、やっぱり頭に入ってきやすい。
合っている、間違っているの議論にならないし、「データが物語ることはこうであった」ということに対して、自分たちがやりたいことはできていたのか。傍から見たら「データ的にはこうだった」という、まずこれが最初に頭に入れられる、土台になる。
それに対して自分たちはこうだった、データ的にもこれが悪かったからこうしようという風に持っていけるところが活用しやすいと思っています。
データや指標としてそれがあると、なんで悪かったのかがデータで確かめられる。なんで悪かったの改善のしやすさが上がると思います。

また、この時間帯はこの傾向がある、というのがデータとして積み重なっていき、試合の中で時間帯に応じて何を意識しようとか、シンプルに伝えられるので指示が多分選手の頭に入ってきやすい。
とりあえずここだけ意識すればいいんだなというのを持っていきやすいと思います。
自分たちとしてはやっぱり社会人なので、毎回毎回ミーティングで細かくできればいいですがそんな時間もなかったりする中で、まずはStatsReviewのレポートを監督や選手に展開して、各々落とし込んでもらうというようにしています。

過去のデータと比較することで、自分たちが取り組んでいることのPDCAも回しやすい

― StatsReviewを使い始めてから、具体的な変化はありますか?
社会人リーグで一応公式記録・スタッツはありますが、そこまで正確なデータとして改善に使えるものではありません。
そういったチーム強化に使える指標とかもない中だったので、(StatsReviewのレポートで)データをもとにした質の高いミーティングがしやすくなっていると感じています。
それを活用することによってみんなが目指すべき方向とか、例えばパスの本数だったりパスの方向とか、自分たちのストロングももう一回理解できました。
分かっているようで分かってない自分たちの特徴、ストロングを再確認できましたし、健康診断のイメージでも活用できるのではないかと思います。

自分たちのデータが積み重なっていくことは本当に価値が高い。
今はフォーメーションをある形でやっているとして、変えたときに変化が生まれる。それを過去のデータと比較できるところは、自分たちもトライアンドエラーでやっていかなければいけない中でも、結果だけでなくちゃんとデータをもって比較できるのは、PDCAが回しやすいと感じています。

プロでは当たり前にやっているスカウティングにも活用できる

― StatsReviewに今後期待することはありますか?機能や活用方法など。
チームベースのデータはかなり盛り込まれている印象があるので、これは大変なことかもしれませんがやっぱり個人ベースのスタッツやデータがあるといいと思います。
撮影ができるのかという問題があるとは思いますが、チーム戦術に加えて選手個人にフォーカスして分析できるとより価値が高まるとは思います。

あとは活用方法として、対戦相手のスカウティングとか。
プロなら当たり前のようにやっていることを、人として雇うのか、監督やスタッフが全部やりきるのか、他にもいろんなことを考えなくてはいけないと思いますが、そうなったときにデータをもとにしたスカウティングの分析がある程度できるていると、その分の時間だったり他のことに還元したり落とし込んだりすることができる。
そういう点ではうまく活用することで今後においてもより活きてくるものだと思っています。